職務経歴書は、決まった様式がないぶん「何を書けば通るのか」が分かりにくい書類です。この記事では、棚卸しから形式の選び方、実績の書き方、例文までを順に解説します。最後の9章では、書類選考を通過した後に効いてくる「職務経歴書の死角」を2つ紹介します。
1. 職務経歴書とは:履歴書との違い
職務経歴書は、これまでの仕事で「何をしてきて、何ができるか」を応募先に伝える書類です。
履歴書とセットで提出することが多いですが、役割はまったく違います。
| 履歴書 | 職務経歴書 | |
|---|---|---|
| 役割 | 本人の基本情報を確認する | 仕事の中身と実力を伝える |
| 主な内容 | 学歴・職歴・資格・連絡先など | 担当業務・役割・実績・スキル |
| 形式 | 様式がほぼ決まっている | 決まった様式がない |
| 採用側が見ること | 経歴の事実、通勤や条件 | 募集中のポジションで活躍できそうか |
履歴書の職歴欄は「○年 ○○株式会社 入社」のように事実を並べるだけです。その会社で何をしていたのかを補うのが、職務経歴書の役割です。
様式が決まっていないということは、何をどの順で書くかまで含めて見られるということでもあります。同じ経歴でも、読み手が知りたい順に並んでいるかどうかで伝わり方が変わります。
分量はA4で1〜2枚が一般的な目安です。面接でも、この書類をもとに質問されます。
2. 書く前の準備:経歴の棚卸し
いきなり書き始めると、思い出せたことだけを並べた書類になります。先に材料を全部出してから、書くものを選びます。
2-1. 会社・部署ごとに書き出す
在籍した会社や部署ごとに、次の項目を埋めていきます。この段階では体裁も文章も気にせず、思い出せるものをすべて出します。
| 項目 | 書き出す内容の例 |
|---|---|
| 期間 | 2021年4月〜2024年3月 |
| 所属・役割 | 法人営業部/チームリーダー(メンバー4名) |
| 担当業務 | 中小企業向けの新規開拓、既存顧客の更新対応 |
| 規模 | 担当社数、扱った金額、関わった人数、件数 |
| 工夫したこと | 自分で考えて変えたこと、周りと違うやり方 |
| 結果 | 数字で出せるもの、出せなければ「何が変わったか」 |
特に大事なのは「工夫したこと」の欄です。担当業務と結果だけだと、同じ部署の誰が書いても同じ内容になります。自分がどう動いたかは、5章で実績を書くときの中心になります。
2-2. 思い出すための材料を集める
記憶だけに頼ると、数字や時期があいまいになります。手元にある材料から拾います。
- 評価面談のシートや目標設定の記録
- 自分のカレンダー、メモ、日報
- 社内表彰や担当プロジェクトの記録
ただし、会社の資料をそのまま持ち出したり、社外秘の数字を書いたりするのは避けます。書くのは自分の記憶と、自分で作った記録の範囲です。
2-3. 求人票と照らし合わせる
書き出した材料のうち、何を厚く書くかは応募先で決まります。求人票の「仕事内容」「必須・歓迎条件」を読み、重なる経験に印をつけておきます。
職務経歴書は、経歴の記録ではなく応募先に向けた説明書です。全部を同じ熱量で書くのではなく、重なる部分に行数を使います。
3. 3つの形式と選び方
職務経歴書には、経歴の並べ方によって3つの形式があります。
| 形式 | 並べ方 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 逆編年体 | 新しい順に並べる | 迷ったらこれ。今の仕事の経験を応募先で活かしたい人 |
| 編年体 | 古い順に並べる | 社会人経験が短い人、昔の経験の方が応募先に近い人 |
| キャリア式 | 職種やプロジェクトごとにまとめる | 技術職・専門職の人、転職回数が多い人、複数の職種をまたいできた人 |
迷ったら逆編年体がおすすめ
編年体には、履歴書の職歴欄と同じ順番なので、見比べながら読みやすいという利点があります。
それでも逆編年体をすすめるのは、中途採用で採用担当者が最初に知りたいのは「今、何ができるか」だからです。即戦力を求める中途採用では、直近の仕事と募集職種の接点が注目されます。
編年体だと、その一番知りたい部分が書類の最後に来ます。社会人歴が長いほど、新卒時代の配属から読み進めないと本題にたどり着きません。逆編年体なら、最初の数行で直近の経験が目に入ります。
編年体を選ぶのはこんなとき
- 社会人経験が2〜3年ほどで、経歴が短い
- 今の仕事より、前の会社や前の部署の経験の方が応募先に近い
後者の場合、逆編年体だと関係の薄い直近の経歴が先頭に来てしまいます。
キャリア式を選ぶのはこんなとき
プロジェクト単位で働いてきた人や、職種が何度か変わっていて時系列だと話がつながらない人に向いています。
ただし、時系列が見えにくくなるので、冒頭に「いつ、どの会社に在籍したか」の略歴を短く添えておきます。
4. 基本の構成要素と書き方
職務経歴書は、上から順に次の項目で組み立てるのが基本です。
| 順番 | 項目 | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | 職務要約 | 経歴全体を数行で伝える |
| 2 | 職務経歴 | 会社・部署ごとの業務と実績 |
| 3 | 活かせる経験・知識・スキル | 応募先で使えるものをまとめる |
| 4 | 資格・免許 | 業務に関係するもの |
| 5 | 自己PR | 強みと、それを応募先でどう活かすか |
書類の一番上には「職務経歴書」というタイトル、作成日、氏名を入れます。
4-1. 職務要約:ここだけで全体像を伝える
採用担当者が最初に読むのが職務要約です。ここで興味を持たれなければ、その先は流し読みされます。
200字前後で、次の3つを入れます。
- どの業界・職種で、何年くらい働いてきたか
- 主に何を担当し、どんな役割だったか
- 応募先で活かせる強みは何か
例(営業職)
法人向けITサービスの営業として約6年間、中小企業の新規開拓を担当。直近2年はチームリーダーとして4名のメンバーをまとめ、チーム目標を2期連続で達成しました。課題を聞き出して提案内容を組み立てる力を、貴社の既存顧客向けの提案営業で活かしたいと考えています。
要約は応募先ごとに書き換えます。下の職務経歴は使い回して、要約だけを調整すると負担が少なく済みます。
4-2. 職務経歴:会社ごとに期間と業務内容でまとめる
職務経歴は、会社ごとに次の2段で組み立てます。
- 会社の情報:会社名、在籍期間、事業内容、従業員数
- 期間ごとの業務内容:部署異動や役割の変化があれば期間を分けて、それぞれ【所属・役割】【担当業務】【実績】の小見出しで区切る
逆編年体なら、新しい会社・新しい期間から順に並べます。
2020年4月〜現在 株式会社〇〇
事業内容:中小企業向け勤怠管理クラウドの開発・販売/従業員数:約300名
2024年4月〜現在 法人営業部 チームリーダー(メンバー4名)
【担当業務】〇〇
【実績】〇〇(5章の書き方で記載)
2020年4月〜2024年3月 法人営業部
【担当業務】〇〇
【実績】〇〇
会社の事業内容や規模を添えるのは、採用担当者がその会社を知らない前提で読むからです。同じ「営業」でも、相手が大企業か個人か、扱う金額が数万円か数千万円かで、仕事の中身はまったく違います。
実績の書き方は、この記事で一番大事な部分なので5章で詳しく説明します。
4-3. 活かせる経験・知識・スキル
職務経歴の中から、応募先で使えるものを拾い出して箇条書きにします。2章で求人票と照らし合わせて印をつけた部分が、ここの材料です。
- 法人向けの課題ヒアリングと提案書作成(年間約50件)
- 4名のチームの目標管理と育成
- Salesforceを使った商談管理
使ったツールや扱った業務の量を添えると、どの程度できるのかが伝わります。
4-4. 資格・免許
業務に関係するものを、取得年月と正式名称で書きます。応募先の仕事と関係の薄い資格まで並べる必要はありません。
4-5. 自己PR
職務経歴で書いた事実をもとに、自分の強みと、それを応募先でどう活かすかをまとめます。
ここで新しいエピソードを持ち出すより、職務経歴に書いた実績を「つまり自分はこういう人です」とまとめ直す方が、書類全体に一貫性が出ます。
志望動機の「活かせる経験」とも重なる部分なので、あわせて整えておくと面接でも話がぶれません。転職の志望動機の書き方も参考にしてください。
5. 実績の書き方:結果だけでなく「どうやったか」まで書く
5-1. 採用担当者が実績から知りたいこと
実績を書くとき、多くの人は「売上〇%アップ」のように結果の数字を並べます。数字は大事ですが、それだけでは足りません。
採用担当者が知りたいのは、その結果をうちの会社でも出せるかです。
結果は、景気や担当エリア、商品の強さにも左右されます。「前年比130%」と書かれていても、本人の力なのか、たまたま追い風だったのかは数字だけでは分かりません。分かるのは、どう考えて、どう動いたかが書かれているときです。やり方は会社が変わっても持っていけるからです。
5-2. 4つの要素で書く
実績は、次の4つで組み立てます。
| 要素 | 書くこと |
|---|---|
| 状況 | どんな環境・担当だったか |
| 課題 | 何がうまくいっていなかったか |
| 行動 | 自分が何を考え、何をしたか |
| 結果 | 何がどう変わったか(できれば数字で) |
このうち一番大事なのは「行動」です。ここが空いていると、同じ部署の誰が書いても同じ実績になります。2章の棚卸しで「工夫したこと」を書き出したのは、この欄を埋めるためです。
5-3. 結果だけの書き方と比べる
結果だけの書き方
20XX年度 新規顧客獲得数を前年比130%に増加
4つの要素で書いた場合
20XX年度 新規顧客獲得数を前年比130%に増加(年間20社→26社)
- 飛び込み中心で商談につながる率が低かったため、業種別の導入事例資料を作成
- 展示会の来場者リストから相性のよい3業種に絞ってアプローチし、商談化率を改善
どちらも同じ実績ですが、下の書き方なら「課題を見つけて、やり方を変えられる人」だと伝わります。面接でも「なぜその3業種に絞ったのか」のように、話を広げやすくなります。
考える順番は「状況→課題→行動→結果」ですが、書く順番は逆にします。結果を1行目に置き、その下に行動を2〜3行の箇条書きで添えます。採用担当者が最初に目にする1行目で成果が伝わり、気になった人だけが下の行動まで読めるからです。この記事では、この書き方を「結果+行動」と呼びます。
5-4. 書くときの注意点
チームの成果は、自分の役割を書く
チームで出した結果を自分ひとりの成果のように書くと、面接で掘り下げられたときに説明が苦しくなります。「チームで〇〇を達成。そのうち自分は△△を担当」と分けて書きます。
社内の言葉を、社外の言葉に変換する
社内では通じる言葉も、社外の人には伝わりません。部署の略称や社内用語だけでなく、社内評価も同じです。
| 社内の書き方 | 社外に伝わる書き方 |
|---|---|
| S評価を獲得 | 部署約50名中、上位5名の評価を獲得 |
| 〇〇プロジェクトを担当 | 基幹システムの刷新プロジェクト(期間1年、メンバー10名)を担当 |
| 社長賞を受賞 | 新規開拓の成果により、全社表彰(年1回、全社員約300名から3名)を受賞 |
社内表彰は、それだけでは何がすごいのか伝わりません。何を評価されたのかと、どれくらいの中から選ばれたのかを添えます。
数字で示しにくい仕事の書き方は、次の章で説明します。
6. 実績がない・数字で示せない場合
「売上のような数字がない」「特別な成果がない」という人も、書けることは必ずあります。見方を少し変えます。
6-1. 売上以外の数字を探す
数字は売上だけではありません。どんな仕事にも、量・時間・質のどれかは数えられます。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 量 | 処理件数、担当社数、対応した問い合わせ数 |
| 時間 | 短縮できた作業時間、締め切りまでの日数 |
| 質 | ミスや差し戻しの件数、クレームの件数 |
| 規模 | 関わった人数、扱った金額、プロジェクトの期間 |
例(事務職)
経費精算のチェック手順を見直し、月末の処理時間を約20時間から12時間に短縮
- 差し戻しが多い項目を集計し、申請者向けの記入例を作成して配布
正確な数字が分からなければ、「約」「月〇件程度」と書いて構いません。ただし面接で聞かれたときに説明できる範囲にとどめます。
6-2. 数字がなくても「何が変わったか」を書く
数えられない仕事でも、自分が関わる前と後で何かが変わっていれば、それが実績です。
部署内で人によってばらばらだった問い合わせ対応をマニュアルにまとめ、新人が一人で対応できるまでの期間を短縮
- よくある質問30件を回答例つきで整理し、更新ルールも決めて運用
「マニュアルを作った」だけでは作業の報告ですが、「それで何が変わったか」まで書くと実績になります。
6-3. 経験が浅い場合は「任された範囲」を書く
社会人経験が短いと、大きな成果がないのは当然です。採用側もそれは分かっています。その場合は、次の2つを詳しく書きます。
- 業務内容を具体的に:何を、どのくらいの量、誰を相手にやってきたか
- 任される範囲が広がった経緯:最初は補助だった仕事を、いつから一人で担当するようになったか
入社1年目は先輩の補助として見積書作成を担当。2年目から既存顧客15社を一人で担当
任される範囲が広がったことは、それ自体が「周りから信頼された」という実績です。
7. 職種別の例文
逆編年体で、職務要約と職務経歴の部分を2職種分まとめました。実績は5章の「結果+行動」の形で書いています。
7-1. 営業職
■職務要約
食品メーカーのルート営業として約7年間、関東のスーパー・ドラッグストア約40社を担当。直近3年は大手チェーン3社の本部商談を任され、担当エリアの売上を3年連続で伸ばしました。売場のデータをもとに棚割りや販促を提案する力を、貴社の量販店向け営業で活かしたいと考えています。
■職務経歴
2019年4月〜現在 株式会社〇〇食品
事業内容:加工食品の製造・販売/従業員数:約1,200名
2023年4月〜現在 首都圏営業部 主任
【担当業務】大手スーパーチェーン3社の本部商談、新商品の導入提案
【実績】担当3社の売上を前年比115%に伸長(3年連続で前年超え)
- 各社の販売データを店舗タイプ別に分析し、店舗ごとに置く商品を変える棚割りを提案
- 季節販促の企画を本部バイヤーと共同で立て、実施店舗を20店から60店に拡大
2019年4月〜2023年3月 首都圏営業部
【担当業務】中小スーパー・ドラッグストア約40社へのルート営業
【実績】新商品の取扱店数をエリア内で1位に(営業担当12名中)
- 試食販売の結果を写真と数字で1枚にまとめ、商談時に配る資料として定着させた
7-2. 事務職
■職務要約
製造業の経理部で約5年間、経費精算・支払処理・月次決算の補助を担当。手順の見直しで処理時間を短縮した経験があります。正確さを保ちながら仕事の進め方を整える力を、貴社の経理業務で活かしたいと考えています。
■職務経歴
2021年4月〜現在 株式会社△△
事業内容:産業用部品の製造・販売/従業員数:約800名
2023年4月〜現在 経理部 主任
【担当業務】経費精算のチェック(月約400件)、取引先への支払処理、月次決算の補助、新人2名の指導
【実績】月末の経費精算の処理時間を約20時間から12時間に短縮
- 差し戻しが多い項目を3か月分集計し、申請者向けの記入例を作成して全社に配布
- 差し戻し件数も月約60件から20件程度に減少
- 新人向けの業務マニュアルを作成
2021年4月〜2023年3月 経理部
【担当業務】経費精算のチェック、支払処理
【実績】入社2年目から取引先約80社の支払処理を一人で担当
8. よくあるNG
書類選考で損をしやすい書き方をまとめました。提出前のチェックに使ってください。
8-1. 業務を並べただけになっている
新規開拓営業、既存顧客フォロー、見積書作成、社内会議への参加
担当業務の一覧だけでは、同じ仕事をしていた誰が書いても同じ内容になります。業務内容の後に、5章の「結果+行動」で実績を添えます。
「課題解決力を活かして貢献」のような抽象的な言葉も同じです。「営業を担当していました」より「新規顧客を担当し、年間目標を120%達成」のように、具体的な中身で書きます。
8-2. 全部書こうとして長くなる
経験が長い人ほど、すべての担当業務や案件を書きたくなります。ですが、3枚、4枚と増えるほど要点が伝わりにくくなります。
応募先の仕事と関係の薄い経歴は短くまとめ、関係の深い経歴に行数を回します(2-3で求人票に印をつけた部分です)。目安はA4で1〜2枚です。
8-3. どの応募先にも同じものを出している
職務経歴書を1枚作って、すべての応募先に使い回していませんか。応募先が変われば、注目してほしい経験も変わります。
全部を書き直す必要はありません。職務要約と「活かせる経験・知識・スキル」だけを応募先ごとに調整すれば十分です。
8-4. 盛りすぎている
実際より大きな役割や数字を書くと、面接で掘り下げられたときに説明が苦しくなります。書類と話がずれると、ほかの実績まで疑われます。
書いた内容は、すべて面接で聞かれる前提で書きます。「なぜそうしたのか」「ほかに何を試したか」まで答えられない行は、削るか、答えられる範囲に書き直します。
8-5. 書かなくていい個人情報が入っている
家族構成、住まいの状況、思想・信条など、仕事の能力と関係のない情報は書く必要がありません。厚生労働省は、採用選考を「応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうか」で判断するよう求めており、家族や住宅状況、思想・信条などは選考で把握すべきでない事項として挙げています(公正な採用選考の基本)。
8-6. 細かいミスがある
採用担当者を対象にした調査では、書類でマイナスの印象につながる項目(複数回答)の1位は「ミスや誤字・脱字が多い」(47.2%)でした(出典:doda|中途採用の履歴書・職務経歴書で一番見られているのは?)。内容がよくても、細かいミスは「確認が雑な人」という印象につながります。
| チェック項目 | よくあるミス |
|---|---|
| 年号 | 西暦と和暦が混ざっている(履歴書ともそろえる) |
| 会社名 | 「(株)」と略している → 「株式会社」と正式名称で書く |
| 資格名 | 通称で書いている → 正式名称で書く |
| 日付 | 在籍期間が履歴書と食い違っている |
あわせて、提出するファイル形式も確認します。指定がなければPDFにしておきましょう。PDFにしておけば、相手の環境でレイアウトが崩れたり、内容が書き換わったりする心配がありません。
9. 職務経歴書の死角
ここまでは「書類選考を通すため」の書き方でした。最後に、書き方の解説ではあまり触れられない死角を2つ紹介します。
9-1. 「よく見せる」ほど、入社後に高い期待を背負う
書類選考を通すことだけを考えると、役割や成果を少しでも大きく見せたくなります。
8-4で書いた「面接でばれる」リスクだけではありません。もし盛った書類のまま内定が出ると、企業は書類に書かれた人物像を前提にポジションや期待値を決めます。入社後、実力以上の役割を任されて苦しむのは自分です。
内定を取ることを支援する側からは、通過率が下がるかもしれない「控えめに書こう」という助言は出にくい構造があります。だからこそ、自分で線を引いておきます。
- 書類に書くのは「入社後も同じ水準でできること」
- まだ自信がない経験は、「〇〇の補助として関わった」のように範囲をそのまま書く
エージェントの面談で強みを伝えるときも同じ考え方です。転職エージェントの面談:聞かれること一覧と答え方も参考にしてください。
9-2. 書くことが増えていないのは、書類ではなく働き方の問題
職務経歴書を書き始めて「書けることがない」と気づく人は少なくありません。転職を決めてから慌てて書こうとしても、書ける中身はその時点でもう決まっています。キャリアは、日々どの仕事を引き受けてきたかでほぼ決まっているからです。
そこでおすすめなのが、転職の予定がなくても、半年に1回くらい職務経歴書を更新しておくことです。
- 数字や経緯を、記憶が新しいうちに残せる(退職後は社内のデータを確認できません)
- 「この半年、1行も増えていない」と気づける
2つ目が大事です。行が増えていないなら、それは書き方ではなく、今の働き方を見直すサインです。気になる求人票の応募条件と見比べて、足りない経験を今の会社で取りにいけないか考えてみてください。在籍中なら、まだ埋める時間があります。
10. よくある質問
Q. 何枚くらいにまとめればいい?
A4で1〜2枚が目安です。経験が長くて収まらない場合は、文字を小さくするのではなく、応募先と関係の薄い経歴を短くします(8-2)。
Q. 手書きとパソコン、どちらがいい?
指定がなければパソコンで作ります。読みやすく、応募先ごとの修正もしやすいからです。メールやWebで提出するときは、指定がなければPDFにします。
Q. 転職回数が多いと、書ききれない
会社ごとに時系列で書くと長くなる場合は、キャリア式で職種ごとにまとめる方法があります。その場合は、冒頭に在籍した会社と期間の略歴を短く添えます(3章)。
Q. 社会人経験が1〜2年しかなく、書くことがない
大きな成果がなくても、担当した業務の中身と、任される範囲がどう広がったかを書きます(6-3)。
Q. 退職理由は書くべき?
基本的には書かなくて構いません(応募先の指定様式に欄がある場合は除きます)。面接で聞かれたときに答えられるよう準備しておきます。面接の退職理由:本音別の伝え方と例文も参考にしてください。
Q. 自分で書いた内容に自信がない
転職エージェントに登録すると、職務経歴書の添削を受けられることが多いです。読みやすさや伝わり方の改善には役立ちます。ただし、役割や成果を大きく見せる方向の提案は、9-1の「入社後も同じ水準でできるか」で判断してください。転職エージェントおすすめ:大手3社の併用登録も参考にしてください。
11. 無料で使える職務経歴書テンプレート
書く中身が固まったら、体裁は大手の転職サービスが無料で配布しているテンプレートを使うのが早くて確実です。どれもこの記事で紹介した3つの形式に対応しています。
| 配布元 | 内容 | ファイル形式 |
|---|---|---|
| doda | 職種・業種・キャリア別に133種類+3形式。記入例つき | Word・Excel |
| リクルートエージェント | 職種別に67種類+3形式 | Word |
| マイナビ転職エージェント | 職種別のテンプレートと書き方のポイント | Word・Excel |
選び方は次の2つだけです。
- 形式:迷ったら逆編年体(3章)
- 職種別:今の職種か、応募したい職種に近いものを選ぶ
テンプレートが決めてくれるのは「型」までです。採用担当者が読みたいのは、その型の中に書かれたあなたがどう考えて、どう動いたかです。5章の「結果+行動」で、中身を埋めてください。