転職理由の本音で一番多いのは、お金の話です。2024年7月〜2025年6月に転職した人の転職理由は、1位が「給与が低い・昇給が見込めない」(36.6%)、2位が「労働時間に不満」(26.3%)、3位が「個人の成果で評価されない」(22.8%)でした(※)。
ただ、こうした本音を面接でそのまま話す人はほとんどいません。前向きな言葉に言い換えるのが普通で、その方法もたくさん紹介されています。
見落とされがちなのは、次の2点です。
- 本音によって、面接官からの見え方がまったく違う。 そのまま言っても問題ないものもあれば、不満の多い人、長く働けない人と受け取られやすいものもあります。
- 言わずにおいた本音ほど、確かめ忘れる。 退職理由をうまく組み立てられても、本当に避けたかったことを確かめなければ、入社後に同じ不満を抱えることがあります。
この記事では、本音を「どう扱うか」で4つに分け、それぞれの伝え方と例文を紹介します。あわせて、退職理由にしなかった本音を面接でどう確かめるかまでまとめます。
※出典:転職サービスdoda「転職理由ランキング【最新版】」
1. 面接官が退職理由で確かめていること
面接官が退職理由を聞くのは、前の会社の良し悪しを知りたいからではありません。知りたいのは、この人が自社で活躍しそうか、入社後すぐに辞めないかです。これを分けると、見ているのは次の3点です。
① 同じ理由ですぐ辞めないか 前の会社で嫌だったことが、うちの会社にもあるなら、また辞めるかもしれない。面接官は退職理由と自社の環境を照らし合わせています。3つの中で最も根本にある確認で、残りの2つもここにつながります。
② 不満を環境のせいにしていないか 上司や制度への不満を話すと、「環境が変わっても、また誰かのせいにするのでは」と受け取られます。残業や休日など条件の話ばかりで、仕事への意欲が見えない場合も同じです。
③ 長く働ける事情か 介護や体調など、本人に責任のない事情でも、勤務に影響が続くかどうかは気にされます。
面接官にとって、採用した人がすぐ辞めることは自分の評価にも響きます。そのため、少しでも不安が残る候補者は通しにくくなります。
退職理由の伝え方は、本音がこの3つのどれに引っかかりやすいかで変わります。次の章で、本音を扱い方ごとに4つに分けて整理します。
2. 本音は「どう扱うか」で4つに分ける
同じ本音でも、面接官からの見え方はまったく違います。たとえば「ほかにやりたい仕事がある」はそのまま話して問題ありません。一方で「給与が低い」を中心に話すと、環境が変わればまた不満を持つ人に見えやすくなります。
自分の本音がどれに当たるかで、扱い方が決まります。
| 分類 | 主な本音 | 扱い方 |
|---|---|---|
| そのまま言える本音 | 会社都合、働く場所を変えたい(転居・Uターン・転勤のない働き方)、ほかにやりたい仕事がある、スキルアップしたい、正社員になりたい | そのまま、または前向きに伝える |
| 裏返して言う本音 | 給与、評価・昇進、人間関係・雰囲気、尊敬できる人がいない、裁量がない、希望しない異動、会社の将来が不安 | 不満の裏にある「やりたいこと」を退職理由にする |
| 言わずに確かめる本音 | ノルマ、残業・休日出勤、土日休み・リモートなどの働き方 | 退職理由にせず、希望条件として確かめる |
| 必要な分だけ言う本音 | 介護・育児、体調、ハラスメント、コンプライアンス違反 | 働き方に関わる事情と条件だけ伝える |
多くの人の本音は、「裏返して言う本音」か「言わずに確かめる本音」に当たります。どちらも不満を退職理由にはしませんが、隠すわけではありません。扱い方は次の章以降で説明します。
本音が複数ある場合は、「そのまま言える本音」を中心に組み立てるのが基本です。
3. そのまま言える本音:事実を短く、前向きに伝える
このグループの本音は、無理に言い換える必要はありません。事実を短く伝え、次の会社でやりたいことにつなげれば十分です。
会社都合(倒産・リストラ・契約満了)
NG:「会社が急に人員削減を決めて、仕方なく辞めることになりました」 OK:「事業縮小に伴う希望退職の募集があり、これを機にこれまでの経験を生かせる場を探しています」
ポイント:本人に原因がないので、隠さず事実を伝えて問題ありません。「仕方なく」のような受け身の言葉を避け、次に向けた前向きな一言で締めます。
働く場所を変えたい(転居・Uターン・転勤のない働き方)
NG:「地元に帰りたくなったので」 OK:「家族の事情で地元に戻ることになり、地元で長く働ける会社を探しています」 OK:「家族の事情で、今後は転勤のない働き方を希望しています。一つの地域で腰を据えて、長く働ける会社を探しています」
ポイント:面接官が気にするのは「また引っ越さないか」です。その土地で長く働くつもりであることを添えます。転勤の有無は入社の前提に関わるので、希望条件としても必ず確かめます。
ほかにやりたい仕事がある
NG:「今の仕事が自分に合わないと感じたので」 OK:「営業として顧客の課題を聞くうちに、課題を解決する仕組みそのものを作りたいと考えるようになりました。現職では企画職への異動の機会がなく、転職を決めました」
ポイント:「合わない」は不満に聞こえます。今の仕事の経験から、やりたいことが生まれた流れで話すと説得力が出ます。現職で叶えられない理由も一言添えます。
スキルアップしたい
NG:「もっと成長できる環境に行きたいと思いました」 OK:「現職では既存システムの保守が中心です。新規開発に携わり、設計から担当できるエンジニアになりたいと考えています」
ポイント:「成長したい」だけだと抽象的で、「今の会社の何が足りないのか」が伝わりません。身につけたいスキルを具体的に言います。また、「学ばせてほしい」という受け身の姿勢に見えないよう、身につけたスキルで何をしたいかまで話します。
正社員になりたい
NG:「契約社員だと不安定なので」 OK:「契約社員として3年間、受注管理を担当してきました。より責任のある立場で、長く腰を据えて働きたいと考えています」
ポイント:安定だけを理由にすると、会社に頼りたい人に見えることがあります。これまでの経験と、責任を持って働きたい意欲をセットで伝えます。
4. 裏返して言う本音:不満の裏にある「やりたいこと」を退職理由にする
給与や評価、人間関係などの不満は、そのまま退職理由にしません。どれだけ丁寧に言い換えても、面接官には「環境が変わればまた不満を持つのでは」と受け取られるからです。
ただ、このグループの不満の裏には、「本当はこうしたい」があります。給与に不満があるのは、成果を正当に評価されたいから。尊敬できる人がいないと感じるのは、もっと学びたいからです。
その「こうしたい」を退職理由にします。組み立ては次の順番です。
- 軸:不満を裏返した「やりたいこと」
- 実績・経験:その軸につながる、これまでの実績
- 次でやりたいこと:応募先でどう生かすか
「なぜ今の会社ではできないのか」と深掘りされたときだけ、事実を一言で答えます。
給与が低い・上がらない
軸:成果に応じて評価される環境で挑戦したい 例:「担当エリアの売上を2年で1.5倍に伸ばしました。この経験を生かし、成果に応じて役割が広がる環境で、より大きな目標に挑戦したいと考えています」 深掘りされたら:「現職は年次で処遇が決まる制度のためです」
給与の話は、希望年収を聞かれたときに事実として答えれば十分です。
評価に納得できない・昇進できない
軸:チームをまとめる経験を積みたい 例:「後輩3人の指導を任され、チームの目標達成を支えてきました。今後は正式にチームを率いる立場で、マネジメントに挑戦したいと考えています」 深掘りされたら:「管理職のポストが限られており、当面は難しい状況です」
評価への不満は「成果が足りなかっただけでは」と疑われやすいので、評価そのものには触れません。
人間関係・社内の雰囲気が合わない
軸:チームで知見を共有しながら働きたい 例:「自分から勉強会を企画し、チーム内でノウハウを共有してきました。こうした取り組みを組織全体で大切にしている環境で働きたいと考えています」 深掘りされたら:「現職は個人で成果を競う方針が強い職場です」
人の話は一切せず、自分が大事にしている働き方の話にします。
尊敬できる人がいない・育てる環境がない
軸:専門性の高い人のもとで学びたい 例:「社内のシステムを一人で担当し、要件整理から運用まで経験しました。今後は専門性の高い方々と働き、設計の考え方をさらに磨きたいと考えています」 深掘りされたら:「現在は社内で相談できる経験者がいない状態です」
裁量がない・意見が通らない
軸:自分で考えたことを形にしたい 例:「業務改善の提案を続け、一部は採用されて作業時間の削減につながりました。より早く提案を形にできる環境で、改善に取り組みたいと考えています」 深掘りされたら:「決裁に時間がかかり、実行まで進まないことが多くありました」
希望しない部署に異動になった
軸:これまでの専門を続けたい 例:「入社以来5年間、マーケティングに携わってきました。この経験を生かし、引き続きマーケティングの専門性を高めたいと考えています」 深掘りされたら:「組織改編で異動になり、異動希望も出しましたが当面は難しいと聞いています」
会社の将来が不安
軸:成長している分野で挑戦したい 例:「これまで紙媒体の広告営業で、顧客の集客課題に向き合ってきました。今後は成長しているデジタル広告の分野で、この経験を生かしたいと考えています」 深掘りされたら:「現職は主力事業の市場が縮小傾向にあるためです」
前の会社の業績の話から入ると、「うちの業績が傾いたら、また辞めるのでは」と受け取られます。会社の状況ではなく、自分が進みたい分野の話で組み立てます。
※例文の実績や数字は一例です。ご自身の経験に置き換えてください。
5. 言わずに確かめる本音:退職理由にせず、希望条件として確かめる
ノルマ、残業、働き方の不満は、裏返しても「やりたいこと」になりません。裏にあるのは「減らしたいこと」だからです。
ここで無理に「効率よく成果を出したい」のような軸を作ると、その場では通っても、同じ負担のある会社に入ってしまうおそれがあります。
そこで、このグループは次のように扱います。
- 退職理由は、ほかの本音から組み立てる。 「そのまま言える本音」や「裏返して言う本音」の中から、本当に当てはまるものを選びます
- 負担は、希望条件として確かめる。 面接で希望条件を聞かれたときや逆質問、オファー面談で、残業時間や働き方を具体的に確認します(確かめ方は後の章で紹介します)
6. 必要な分だけ言う本音:事情は必要な分だけ伝え、条件は必ず確かめる
介護や体調、ハラスメントなどは、本人に責任のない事情です。ただ、すべてを話す必要はありません。話すかどうかは、入社後の働き方に関わるかどうかで決めます。
- 働き方に関わる事情(介護・育児など):何の事情かと、必要な条件だけ伝える
- 働き方に関わらない事情(ハラスメントなど):退職理由として話さない
黙っておくことと嘘をつくことは別です。直接聞かれたら、事実を短く答えます。
| 本音 | 退職理由として | 伝える条件 | 聞かれやすい場面 |
|---|---|---|---|
| 介護・育児 | 種類と必要な条件を伝える | 残業の上限、勤務時間、勤務地など | 自分から伝えるので、聞かれる前に話す |
| 体調(回復済み) | 話さない | なし | 職歴に空白期間や休職があるとき |
| 体調(配慮が必要) | 伝えるかは自分で判断 | 通院日、業務量など | 同上 |
| ハラスメント | 話さない | なし | 在籍期間が短いとき |
| 会社のコンプライアンス違反 | 話さない | なし | 在籍期間が短いとき |
介護・育児
例:「親の介護が必要になり、残業の少ない働き方に切り替えたいと考えています。日中は家族と分担して対応できる体制を整えているため、勤務時間内の業務には支障ありません。これまでの経理の経験を生かし、長く働ける環境を探しています」
ポイント:「家庭の事情」とぼかすと、かえって不安を与えます。介護か育児かは伝え、誰がどんな状態かまでは話しません。面接官が気にするのは、どれくらい勤務に影響するかです。家族との分担やサービスの利用など、影響の範囲を自分から示します。
体調
回復済みの場合:話す必要はありません。空白期間や休職について聞かれたら、「療養していましたが、現在は回復しており、業務に支障はありません」と答えます。
配慮が必要な場合:判断が分かれます。伝えれば選考で不利になる可能性があり、伝えなければ入社後に配慮を受けにくくなります。無理をせず働き続けられるかを基準に決めてください。伝える場合は、病名ではなく必要な配慮(通院の頻度、業務量など)を具体的に伝えます。
ハラスメント・会社のコンプライアンス違反
どちらも退職理由としては話しません。面接官は事実かどうかを確かめられないため、詳しく話すほど、職場とトラブルになった人に見えやすくなります。コンプライアンス違反は前職の内部の話で、守秘義務に触れるおそれもあります。
在籍期間が短く理由を聞かれても、事情を出す必要はありません。「そのまま言える本音」や、裏返した「やりたいこと」で組み立てた退職理由で答えます(詳しくは「よくある質問」で紹介します)。
7. 【死角】退職理由にしなかった本音ほど、確かめ忘れる
ここまで、不満や事情をそのまま退職理由にせず、伝え方を選ぶ方法を紹介してきました。ただ、ここに落とし穴があります。
退職理由にしなかっただけで、本音が消えたわけではありません。
給与に不満があった人は、次の会社でも給与が上がらなければ、また同じ不満を持ちます。残業がつらかった人は、次の会社でも残業が多ければ、また辞めたくなります。
ところが、退職理由をうまく組み立てられるほど、面接は「やりたいこと」の話で進みます。給与や残業の話が出ないまま選考が終わり、本当に避けたかったことを確かめずに内定を承諾してしまう。これが、転職してから「前の会社と同じだった」と気づく典型的な流れです。
自分をよく見せるほど、入社後に苦しくなる
同じことは、自分の見せ方にも言えます。
実績を盛ったり、やる気を強く見せすぎたりすると、面接は通りやすくなります。その代わり、入社後は面接で見せた姿を前提に、期待値の高い役割を任されます。面接でよく見せた分だけ、入社後に背伸びを続けることになります。
なぜ誰も教えてくれないのか
退職理由の伝え方は、多くの場合「選考に通るため」の視点で語られます。選考を通過させることが目的なら、本音を確かめる話は通過率を下げる要因でしかありません。
でも、転職の目的は内定ではなく、入社後に納得して働くことです。退職理由で言わなかった本音は、次の章で紹介する方法で、別の形で必ず確かめてください。
8. 退職理由にしなかった本音は、逆質問とオファー面談で確かめる
本音を確かめる場面は、面接の逆質問だけではありません。質問の内容によって聞く場面を分けると、選考への影響を抑えながら確かめられます。
| 場面 | 向いている質問 |
|---|---|
| 面接の逆質問 | 仕事の進め方、評価の仕組みなど、仕事への関心として聞けること |
| 配属先との面談 | 人間関係、職場の雰囲気、普段の退社時間など実際の働き方 |
| オファー面談 | 給与、休日、残業、転勤、働き方など、条件に関わること |
| 転職エージェント経由 | 自分からは聞きにくいこと全般 |
条件の質問は、選考中に聞くと「条件ばかり気にしている」と見られることがあります。内定後のオファー面談で、労働条件通知書を見ながら確かめるのが安全です。給与や休日、固定残業代の時間数など、書面に書かれた内容と自分の希望を照らし合わせます。
配属先の上司やチームとの面談を頼む
面接で会うのは、人事や役員であることがほとんどです。毎日一緒に働く上司やチームのメンバーには、ほぼ会わないまま入社を決めることになります。
人間関係や職場の雰囲気は、質問の答えだけでは分かりません。実際に会って話すのが一番確実です。選考の段階では設定されないことが多いため、内定後に「配属予定のチームの方とお話しする機会をいただけませんか」と頼んでみてください。
面談では、「チームの皆さんは、普段何時ごろに退社されていますか」と聞くと、残業の実態がつかめます。残業時間を直接聞くより、答える側も言いやすい質問です。
なお、選考の途中で現場の社員と話す機会が設けられた場合は、選考の一部として見られることがあります。その場では仕事内容の話にとどめ、退社時間など働き方の質問は内定後に回します。
本音別の確認質問
残業や働き方は、求人票の固定残業代や口コミサイトで事前に目安をつけておくと、面接で確かめる内容を絞れます。
| 本音 | 確かめたいこと | 質問の例 | 場面 |
|---|---|---|---|
| 給与 | 評価と昇給の仕組み | 「評価はどのような基準で、年に何回行われますか」 | 逆質問 |
| 評価・昇進 | 役割が広がる道筋 | 「マネジメントを担っている方は、入社何年目くらいの方が多いですか」 | 逆質問 |
| 裁量 | 意思決定の速さ | 「現場からの提案は、どのような流れで決まりますか」 | 逆質問 |
| ノルマ | 目標の決め方 | 「目標はどのように決まり、チームでどのくらい達成されていますか」 | 逆質問 |
| 残業 | 繁忙期の働き方 | 「繁忙期はいつ頃で、その時期はチームでどのように乗り切っていますか」 | 逆質問 |
| 残業 | 普段の退社時間 | 「チームの皆さんは、普段何時ごろに退社されていますか」 | 配属先面談 |
| 人間関係・雰囲気 | 配属先のチーム | 「配属予定のチームの方とお話しする機会をいただけませんか」 | 配属先面談 |
| 土日休み・リモート | 働き方の実態 | 「配属先では、在宅勤務は週に何日くらい利用されていますか」 | オファー面談 |
| 転勤 | 転勤の有無と頻度 | 「この職種で転勤の可能性はありますか」 | オファー面談 |
| 介護・育児 | 制度の利用実績 | 「時短勤務や在宅勤務を利用している方はいらっしゃいますか」 | オファー面談 |
ポイントは、「制度があるか」ではなく「実際に使われているか」を聞くことです。制度があっても、使っている人がいなければ実態は変わりません。
9. 退職理由で避けたい答え方
ここまでの内容をふまえて、面接で避けたい答え方を3つにまとめます。
前の会社や人の話が中心になる
上司や制度など、前の会社の話が長くなるほど、面接官には不満に聞こえます。退職理由で話す時間の大半は、次の会社でやりたいことに使います。前の会社の話は、聞かれたときに一言で十分です。
事実と違うことを言う
退職理由に使う本音は選んでかまいませんが、事実と違う話を作るのは避けます。面接では深掘りされるので、作った話はどこかで崩れます。仮に通っても、入社後に話と違う姿を見せ続けることになります。
言わないことと、嘘をつくことは別です。話す本音を選ぶのは問題ありません。
「なんとなく」「勧められて」など、自分の意思が見えない
「周りが転職していたので」「エージェントに勧められて」のような理由は、自分で考えて決めていない人に見えます。きっかけが周りの影響でも、最終的に自分が何をしたくて決めたのかを話します。
10. よくある質問
在籍期間が短い場合は?
在籍期間が短いと、面接官は「うちでもすぐ辞めるのでは」と考えます。退職理由そのものより、今回は長く働けると言える根拠を示すことが大切です。
例:「入社後に、自分がやりたいのは既存顧客と長く付き合う提案だと気づきました。早いうちに方向を定めたいと考え、転職を決めました。今回は、配属先の業務内容を事前にしっかり確認したうえで応募しています」
短期間で辞めることになった事情(職場環境の問題など)を話す必要はありません。退職理由は、「そのまま言える本音」や裏返した「やりたいこと」で組み立てます。そのうえで、今回の会社選びで何を確かめたかを添えると、同じことを繰り返さない人に見えます。
職歴に空白期間がある場合は?
面接官が知りたいのは、空白期間の中身よりも、今は問題なく働けるかです。何をしていたかを一言で伝え、今の状態で締めます。
- 療養していた場合:「体調を崩して療養していましたが、現在は回復しており、業務に支障はありません」
- 家族の介護をしていた場合:「家族の介護をしていましたが、体制が整ったため、仕事に復帰したいと考えています」
- 資格の勉強をしていた場合:「◯◯の資格取得に専念していました。取得した知識を実務で生かしたいと考えています」
長く説明するほど、かえって気にされます。短く答えて、次でやりたいことの話に移ります。
退職理由が複数あるときは?
退職理由として話すのは、1つに絞ります。 複数並べると、不満の多い人に見えやすくなるからです。
選ぶのは、「そのまま言える本音」と「裏返して言う本音」の中で、応募先の志望動機と一番つながるものです。退職理由と志望動機が一本の線でつながると、話に説得力が出ます。ほかの本音は、退職理由としては話さず、必要に応じて逆質問やオファー面談で確かめます。
残業や働き方など、負担を減らしたい以外の理由が見つからない場合は?
「辞める理由」ではなく、「応募先を選んだ理由」から考えます。 負担が減ることのほかに、応募先のどんな仕事や事業に魅力を感じたのかを掘り下げてみてください。それがそのまま、退職理由と志望動機の軸になります。
例:「これまでの経理の経験を生かし、決算業務の効率化に取り組んでいる御社で、仕組みづくりに関わりたいと考えています」
11. まとめ
- 面接官が退職理由で確かめているのは、「同じ理由ですぐ辞めないか」
- 本音は「どう扱うか」で4つに分ける - そのまま言える本音:事実を短く、前向きに伝える - 裏返して言う本音:不満の裏にある「やりたいこと」を退職理由にする - 言わずに確かめる本音:退職理由にせず、希望条件として確かめる - 必要な分だけ言う本音:働き方に関わる事情と条件だけ伝える
- 退職理由にしなかった本音ほど、確かめ忘れる。逆質問、オファー面談、配属先との面談で必ず確かめる
退職理由は、選考に通るための言葉であると同時に、次の会社で同じ不満を繰り返さないための確認でもあります。言わなかった本音まで確かめてから、入社を決めてください。
転職活動全体の進め方は、【転職活動の流れ】準備から内定・退職まで7ステップでまとめています。